フューチャーラボラトリ解剖学 第5回広くて深いスペシャリティーで感動品質を想像するコンピューターの特殊部隊。先入観にとらわれず真に最適な解を示し、お客様と社会に感動を与える。

 フューチャーラボラトリに対しアドバイスをくださっている外部の有識者の方々に、 “フューチャーラボラトリとはなにか?”そして、”橋本昌隆がこれから成すべき事はなにか?”をお聞きするのがこの「フューチャーラボラトリ解剖学」。

第5回は、ITの特殊部隊、難しいことに果敢にチャレンジし続ける、株式会社トランス・ニュー・テクノロジーの代表取締役木村光範社長にご登場いただきます。

インタビューは、京都大学卒/東京大学大学院 岡本絵莉さんです。構成/執筆は、なでしこりか、こと矢島里佳です。

Guest

株式会社トランス・ニュー・テクノロジー 代表取締役

木村光範

Interviewer

京都大学卒 東京大学大学院

岡本絵莉

構成/執筆

なでしこりか(矢島里佳)

二人の運命の出会いは「リストラの歌」

株式会社トランス・ニュー・テクノロジー
代表取締役
木村光範氏

岡本:はじめに、木村さんと橋本さんの出会いをお聞かせいただけますか。

木村:橋本さんとは、5年ぐらい前に出会いました。我が社は、コンピューターの会社ですが、いろいろ事情があり西輪キングというアーティストのプロデュースもしていました。

 そんなとき、ある打ち合わせで、「リストラ評論家がリストラの歌を出したがっているので、協力してほしい」という仕事が来まして、リストラの歌を大真面目に作ることになったのですよ。

 ある日、そのリストラの歌を作る打ち合わせのときに、先方でたまたまその前の打ち合わせにいらしていた橋本さんとご挨拶させていただいたのです。ちょうど橋本さんが独立する直前のころで、あのときは、橋本さんはわけもわからず「リストラの歌を作るので一緒にきませんか?」といわれてそのまま来たのですよね。僕と橋本さんは、リストラの歌がきっかけでお付き合いが始まりました(笑)

岡本:具体的には、お二人で一緒にどんなお仕事をなさっているのですか?

木村:最初からほとんど雑談みたいなものでしたね。橋本さんのやっていらっしゃる、産学官連携はネタがないとなかなかうまく進まないのです。僕も橋本さんも比較的そういうのを産み出す側にずっといたので、そういう場所を作るべく、研究会、勉強会などを一緒に開催してきました。 

 お互いに人脈を紹介しましょうという形でやってきました。だから僕と橋本さんは、大きな仕事は実はあまり一緒にやっていないんです。細かい仕事、例えば講演会を企画して開催したり、調査案件などを比較的多く一緒にやってきたりして、今に至ります。

岡本:橋本さん、最初に木村さんに出会われたときどういう風に感じましたか?

橋本:どういうも何も…いきなり、えらいところに放り込まれたという感じでしたね(笑) 

「これから、木村さんという面白い人がくるから、橋本さんもくる?」「はい、30分くらいなら大丈夫ですよ。」「これからリストラの歌を作るんだ!」といって連れて行かれました。

木村:本当に、意味がわからないですよね(笑)リストラの歌を作るって、まるで音楽家みたいですものね。

橋本:リストラ~♪ らんらん♪ ららん♪ とかいう歌が、出会いでしたね(笑)

雑談から生まれた「百万遍チャー」学生にきっかけを

岡本:今も、随時雑談のような感じなのでしょうか?

木村:最近はその雑談が講じて、100、200人規模で人を集めて、会合やイベントを共同で開催しているのですよ。いろんな面白い相乗効果があったり、いろんな人脈が出来たり、新しいビジネスが生まれる場を二人で共同で多くの人に提供しているという関係ですね。

橋本:でもやはり、1番大きいのはインターンシップ向けの「百万遍チャー」ですよね。 

岡本:それは、いつから始まったのでしょうか?

木村:2007年の頭、もう2年前になりますね。合計3回開催しました。いや、3回+大焼肉大会でした(笑)

岡本:簡単に「百万遍チャー」の内容を教えていただけますか?

橋本:最初は、木村さんの会社と他にも何人かベンチャーの社長が集まっていました。

 その中の雑談で、ITベンチャーは人材の確保が難しい…という話が出たのをきっかけに、インターン制度を設けて、学生の確保をしよう!ということになったのです。

木村:中小企業はネームバリューがないんですよね、ですから学生は、その会社がどんな会社なのかがわからない。ここが、中小企業と大企業が圧倒的に違うところですね。ですから、新卒採用を僕もやっているのでわかるのですが、中小企業と大企業は書類選考のやり方からして違うんですよ。中小企業は、その会社についてどれくらい調べているかが大切、けれども大企業は、その人物を見ますね。

京都大学卒/東京大学大学院 
岡本絵莉

 とにかく気軽な感じで、短期アルバイト感覚でインターンに来てもらい、「この会社、こんなことやっているんだよ」と、どんどん教えて、「この会社面白いな」と思ってもらうことが大事ですね。つまり、「百万遍チャー」は、会社選びのスタートラインに立ってもらうためのイベントなのです。

岡本:中小企業のインターンへ行っていたときに、実際に今進んでいるプロジェクトにいきなり放り込まれたことがありました。何も出来ないなりにも、会社からすごく頼られている感じがするのです。ですから、中小企業って即戦力を求めているのだなと感じました。大企業が新卒者に求めるものは即戦力ではなく、まずは社会人としてどうなの?というところから教育していき、会社として何年か先に利益が出れば良い。という考えかも知れません。私には、大企業と中小企業には雇用に関するギャップがあるように感じており、でもそれはビジネスモデルが違う以上、致し方無いことであるとも思います。

木村:大企業も中小企業も会社によるといえば、会社によりますけど、中小企業って変な人材を何年も雇うことは出来ないので、統計的に「何人」という形で片付けられる人数はとらないんですよ。統計的に片付けられる人数を採ると、絶対に宮前さんのおしゃっていたようになりますからね。大企業に行こうと思う人は、僕ら中小企業の層とかぶらないと思うんですよね。でも情報がないから、仕方なく大企業に行く人はかわいそうだと思います。僕達がやっているイベントは、中小企業に来てくださいよというイベントではないんですよ。学生に情報を与えるイベントなんです。この前も、大企業と中小企業の経営陣ではない層の人を6人集めてパネル討論を行いました。それで、中小企業で働くことと、大企業で働くことは実際問題どう違うのか?ベンチャーを起業するという本はよく見るけど、ベンチャーで働くという本は、あまり見たこと無いですよね。ベンチャーで働くってどういうことなんだろう?怖いな…という、怖さの払拭を僕達はやっているんですね。大企業で、うまくやっていける人もいれば、そうでない人もいると思います。どちらがよいかはわからないけれど、住み分けかなと思います。そういうことを教えてあげられるようなイベントを開催しているんです。

「広くて深いスペシャリティで感動品質を創造する」

岡本:橋本さん、木村さんの会社で働かれているのはどのような方で、その中でおふたりはどのような位置づけでいらっしゃるのですか?

橋本:不思議な縁ですよね。不思議なつながりがあるなって思いますね。社長は実はえらくないんだ!と考えていまして、社長はシステムの一部分と考えています。1人で全部できる人はいいのですが、営業が得意であったり、財務会計が得意だったりと、それぞれ、会社の中で役割というのがあって、社長も同じように1つの会社の中の役割、機能をどう実現するかというのが究極の形かなと思いながらやっています。

木村:たぶん僕も橋本さんも、目指すところがすごく近くて、ものすごい広くて、ものすごい深いところなのですね。弊社のスローガンは「広くて深いスペシャリティで感動品質を創造する」といいます。この「広くて深い」を、僕も橋本さんも狙っているんですね。でも「広くて深い」を実現するには、1人では絶対できなくて、多くの人々の助けが必要なんですよね。だから、僕も橋本さんもすごくたくさん会社の人にいっぱい助けてもらっています。だから、会社で働いている人はすごく信頼できる人たちばかりだし、僕も信頼しています。橋本さんもしっかりと会社で働いている人たちに任せていますよね。それができるからこそ、僕も橋本さんも、安心して、5年後、10年後のビジョンをお互いに語り合えるんですよね。我々はそれをしないといけないし、そういうことをする人がいないと、会社っていうのはいつの間にか衰退していってしまうんですね。

岡本:差し支えなければ、そのビジョンがどのようなものなのか教えていただけますか?

橋本:私のビジョン、仕事の基本線は、「テクノロジー」です。研究開発を事業化できずに苦労している大学の先生や、ベンチャーの社長が周囲にたくさんいらっしゃいました。技術だけではなかなかうまく成り立たないんですよね。それで、私は彼らのマネージャーのような役割をしているんですが、もちろん私だけで、プロジェクト全部がまわるわけではないのですが、営業から企画、ネットワークを生かして交渉して、仲間を増やして、事業がどんどん出来上がり、ベンチャー企業などが立ち上がってきています。後にはノーベル賞とかでたらうれしいんですけどね(笑)。そして、成功事例がどんどん出来上がって、お金が還流する仕組みが早く出来るとちょっとは楽が出来るかな(笑)。今は、そんなマネージメント系をいろいろと手がけています。

岡本:なるほど。木村さんの会社の方は、より「テクノロジー」に重きをおいていらっしゃると思うのですが、どうでしょうか?

木村:そうですね、僕の会社は技術が主体でエンジニアが多い会社なんですけれど、僕のビジョンと橋本さんのビジョンはすごく近いんですね。「僕の5年後、10年後はどういうビジョン?」というので、いつも申し上げているのですが、技術者や職人と呼ばれる人たちが、安心して研究開発が出来て、その能力が正当に評価される世の中を作っていかなければと強く思っているんですよね。やはり、そういうところでなければ、イノベーションは起こらないと思いますし、革新的なことを行っていくことで、世の中の仕組みを変えていくことができると思うんですよね。変えていくことが本当に正しいかはわからないけれど、僕の持論としては、本当に最適なものを提供していくことが本当に大事なことだと思っているんですよ。先入観や思い込みにとらわれず、最適なエンジニアリングをみんなが行っていかなくてはいけない。そのためには、無鉄砲ではない範囲で失敗を恐れず挑戦することが必要だと思います。そしてそういう挑戦をできるような国の施策を引き出していくことも大事だと思います。お金の心配に追われずにある程度失敗を恐れない挑戦ができ、きちんと能力を磨いていける仕組み、すなわち、世界中の挑戦するみんなが幸せになるためのシステムを作りたいと僕は思っているんです。それが僕の大きなビジョンですね。

岡本:技術者の方が能力を出しやすくするために、どのような環境づくりをなさっているのですか?

木村:僕らの会社で1番大切なことは否定しないことだと思っています。我が社は、長所を伸ばす会社ですので、方向性を曲げないで働いてもらいます。みんながやりたい方向はバラバラですが、いろんな広い方向に向かっているので、我が社は30人くらいしかいないのですが、コンピューターのテクノロジーの分野でカバーできない分野がほとんど無いのが特長です。お互いのスペシャリティを否定せずに尊重しあうことが大切ですね。 

岡本:先ほど、システムの話も出ましたけれど、いいシステム屋とはお客様から上がってきたニーズをそっくりそのままを返すことではないと感じています。お客様のニーズは形になっていそうですが、本当は形など無いのです。橋本さんのように多彩な情報網がある方はこの点、大変有利であると思うのです。市場調査や効率分析など見えているようで明確に見えていなかった部分(+α)をコンサルティングしてあげること、そこからお客様の真のニーズを理解してあげること、理想に一歩でも歩み寄ったフィードバックが出来るか。これが大切なことであると思います。

木村:お客さんの求めていることは、山の頂上に上って欲しいということなんですよ。でも必ずお客さんって、ちょっと道が見えていると、あの道を行けば頂上へいけるから、そこへ行ってよ。とおっしゃるんですよね。でも、プロから見ると、その道は行かないことが多いのです。お客さんは、頂上に行ったときのスペシャリストだけれど、山登りのスペシャリストではないので、山登りの過程については、プロがこれはこっちのほうが良いですよ、と言うことが大切なのでしょうね。

岡本:私もお客様にご提案するときには、あくまでシステムであるので、受け入れ方のご説明を加えます。現状から譲れるところと譲れないところという意味です。

木村:そうなんですよね。システムの担当者に聞くと、譲れないところだらけなのですが、実は、経営者に聞くと譲れないところってほとんどないんですよね(笑)ですから、必ず経営者に聞かないとだめなんですよ。本質を見抜く力が大切!僕の会社も橋本さんの会社も本質を見抜くことを仕事にして、生業にしているんだと思います。

岡本:このお客様とのステイタスの中で、お客様より自分の方がその分野や業務に関して詳しくなっていることってありますよね?

橋本:ありますね。とくに、経営サイドからの話が出来るので、似ているようで似ていない、だからコラボが出来るんですね。

岡本:木村さんと橋本さんにとって、お互いはどんな存在なのですか?

橋本:家族より会っている時間が多かったりしますね(笑)

木村:橋本さんは「人間Google」といわれているくらいですから、とても人脈が広く、すごく勉強になります。橋本さんは、当たり前のことを当たり前にこなすことを実現なさっていて、とても尊敬しています。頭ではわかっていたことを、きちんと、僕より高いレベルで実現なさっているなぁって思って、年は橋本さんのほうが上なのですが、僕も負けられないなって思うところもあるんですよね。例えば、橋本さんがメールを5分で返したら、僕は3分で返したいです(笑)メールはすぐに返したほうが良いよね、という当たり前のことを僕と橋本さんで共有していって、それを学生さんに伝えて、「初めて知りました!」と、学生さんに言ってもらえるような、気づきを与えられるといいなと思います。

橋本:ところで岡本さんは、かばん持ちインターンや異業種交流会、ビジネスディスカッションなど我が社のインターンシップに参加された経験がありますが、いかがでしたか?

岡本:参加して思ったのは、橋本さんが開催する場にいらっしゃっている方々は、年齢とかお仕事とかみなさんばらばらですけれど、共通しているところがあるなぁと感じるところがあります。それが何かは、うまく言えないのですが、「力を出してがんばって働く!」という思いでしょうか、そういった思いを持っていらっしゃる方々が、一堂に会する場を橋本さんがセッティングしてくださっているのだと感じました。

木村:僕も、これだけいろんな業種の人ときちんと話ができるというのは素晴らしいことだと思います。 プライベートも仕事も徹底的に混同させる。橋本さんのように、ここまではなかなか徹底できないですよね。

橋本流「ダイヤモンドの目利き 人材育成法」

岡本:橋本さんはきっと若い人に対して思うところがあって様々な取り組みをなさっていると思うのですが、いかがですか?

橋本:ある時期から、若い人が世に出るのを助けることが重要だと思うようになりました。元気な、三十代くらいの若い大学の先生が、私の周りに集まるようになってきました。研究計画どうしよう?教育は?経済産業省やNEDOの予算をとったり、産学連携のコンソーシアムどうやって組もうかと相談したり、様々なことを行ってきましたね。

 それから、インターンも自然とたくさん集まってくるようになり、嬉しいことに、「橋本さんのおかげで、人生変わりました。」とか、身に余るお言葉をいただいたり、少々照れくさかったりします。

以前、総合科学技術会議の議員をされている黒川清先生と、とある委員会でご一緒した時に、「ダイヤモンドの目利き育成」の話をしてくださったんですよ。ダイヤモンドの目利きを育てるときは、毎日ひたすら本物のダイヤモンドだけを見せ続けるんだそうです。そうしたら、偽物を見たらすぐにわかるそうです。実は人の教育や育成も同じじゃないかと最近すごく思うようになりました。だから最近は、特にインターンの皆さんも、たくさんの素晴らしい人に会って、鍛えられて、刺激を受けて、気がついたら成長している、というのが良いかなと思っています。インターンの子達が私の横についていると、「おお!」という瞬間があるらしいです。私自身も、毎日10~20人くらいの方々に会って、日々鍛えられています。

株式会社フューチャーラボラトリ
代表取締役社長
橋本 昌隆

木村:僕も、本物の人たちを学生さんに知ってもらうことが大切だと思っています。やはり、残念だけれど、偽者は世の中にはいるんですよね。自分が偽者にならないようにするために、日々研鑽をつづけているけれども、橋本さんと出会って、より強くそう思うようになりました。どこのインターン生よりも僕が勉強になっているかなと思います。

“いきいき”できる環境づくり「いきいき研究室増産プロジェクト」

岡本:私が今取り組んでおります「いきいき研究室増産プロジェクト」、これは大学の研究室を活性化しようという活動で、お二人に大変お世話になっております。ありがとうございます。以前木村さんから、「岡本さんの目指す研究室と、自分が作りたい会社が似ている」というお話を伺ったことがあると思うのですが、その点はいかがでしょうか?

木村:研究室というのは、「研究して何ぼ」だろう、と思います。会社も研究室も同じだと思うのですが、まずは、「研究とは何か?」というと、自分の研究を磨くことですよね。でも、自分の研究を磨くことだけでなく、お互いを延ばしあえるような環境を作っていくことが、会社も研究室もいきいきしていくために大切なことだと考えています。橋本さんも常にそう考えられているけれど、大学では自らの研究を大事にしないと、大学にいる意味はないだろうと思います。いきいき研究室増産プロジェクトの本質もそこにあって、一番大事なのは、研究を阻害しない環境づくり、お互いにいきいきとして、協和して、楽しく研究を進められることです。我々の会社も研究に近いような仕事をしているので、会社も大学もまったく同じで、とにかくいきいきすることが一番大切なのです。

橋本:いきいき研究室増産プロジェクトの企画書をはじめてみたときに、「おお、この企画書すごいなぁ!」と思ったら、「大学3年生の子が書いたよ。」と言われて、「え、大学3年生でこんな企画書、書くの?」とびっくりしたのを覚えています。それが岡本さんとの出会いでしたね。

 大学の研究室の機能は大きく3つあると考えています。1.教育 2.研究 3.社会(産学連携)です。しかし、これを明解に分けて考えている大学の先生は意外と少ないのです。会社の経営であれば、それぞれのところに、どれくらいリソースを配分するか、どのような人材を当てるか、どれくらい予算を当てるか、を考えますが、大学の先生はそれらを考えている人が少なくて、第4.の学内政治ばかり気にしている先生が多いです(笑)特に、第3の、社会・産学連携に関しては、弱い先生が多いですね。

木村:でも、みんなが強かったら、橋本さんの出る幕ないですからね(笑)そういうところをきちんと埋めていって、「こういうことが大事ですよ、だからこういうことをやっていきましょうね」とコンサルティングをしながら、きちんと最後まで面倒を見るという橋本さんの姿勢が素晴らしいな、と思いますね。我が社も、大学の先生と一緒にお仕事させていくことが多いのでよくわかります。

岡本:研究なり、事業なり、やっていることは違っても、やっていることを通じて、人のいいところを引き出したいというのは、お二人とも同じなのかなぁと感じました。

木村:いきいき研究室増産プロジェクトを応援したいな、と僕達が思うのは、学生さんや若い教員の方から、「このままじゃだめだ」という話が出てきたというのが、とても大事なことだと思ったからです。こういうムーブメントはすごく大事なことだし、全国に広がって、全世界に広がっていくべきだと思いますし、こういうところから出たビジネスパーソンは、企業でも、ものすごく活躍できるし、社会にとって、世界にとって必要な人材だと思います。

フューチャーラボラトリ =「道場」

橋本:フューチャーボラトリを表す言葉として一番適切なのは、「道場」という言葉だと思います。実際、社員で入ってきても、コンサルを担当しているプロジェクトやベンチャーに、そのままもらわれていくというパターンが多いのです。またインターンも同じで、我が社に入ってきて、道場のように武者修行して、また羽ばたいていく、こういったプロセスが重要かなと思います。今の教育を外から見ていて、すごくおかしいなと思うことがよくあります。現在、法政大学 キャリアデザイン学部にて先端産業論を教えているのですが、大学の中に入ると、何でこんなことがこんな風になっているの?ということばかりで、学生と直接話していると、その点の不満とかも聞こえてくるんですよね。

岡本:橋本さんが大学を「外」からご覧になっているからこそ見える部分もあるのでしょうね。

橋本:それをうまく変えていって、若い人をエンカレッジすることが、フューチャーラボラトリのミッションだと思います。

今日はありがとうございました。

―――木村さん、橋本さん、お二方は、お仕事は違えども、よい人材を発掘し育てたい、そして、よい社会を作っていきたい、という気持ちが共鳴しあい、お互いに惹かれあっていらっしゃるのですね。これからもぜひ、お二人で力を合わせて様々なイノベーションを起こしていってください!